Liquidated Company
清算結了した会社名義の車を買い取るとき【条文は「登記まで」ではなく「清算が結了するまで」】
「もう会社が無いから、この車はどうにもならない」——法人絡みでいちばん止まりやすい場面です。ところが条文は、登記ではなく“清算が結了したかどうか”で線を引いています。会社法の側から順に整理します。
買い取りたい車の名義が、もう解散して清算結了の登記まで済んでいる会社だった――法人絡みの手続きで、いちばん止まりやすい場面です。「会社が無いのだから、どうにもならない」と言われることもあります。条文はそう書いていません。
会社法476条は、清算株式会社は清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなすとしています。🔴 「清算結了の登記がされるまで」とは書いていません。⇒ 会社名義の車が残っているなら、それは「まだ分配されていない残余財産」(481条3号)で、清算人の職務の範囲です。清算人がいなければ、裁判所に選任してもらう道が条文に置かれています(478条2項)。
「清算結了の登記」は何を届け出たものか
会社法929条は清算結了の登記を定めています。株式会社の場合は、第507条第3項の承認の日から2週間以内に登記する、という形です。
「決算報告が承認されたので、清算は終わりました」という届出です。承認が先、登記が後。⇒ 登記は、結了という出来事を写したものであって、登記そのものが清算を終わらせるわけではありません。
ここを分けておくと、次の条文が読みやすくなります。
条文は「登記まで」ではなく「清算が結了するまで」
清算をする株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
読みどころは2つです。
| 語 | 意味するところ |
|---|---|
| 清算の目的の範囲内において | 何でもできるわけではない。清算のためにすることに限られる |
| 清算が結了するまでは | 🔴 基準は「結了」であって「登記」ではない |
⚠ 登記記録が閉鎖されていることと、清算が終わっていることは、条文の上では別のことです。⇒ まず「残っている財産があるか」を見るのが順番です。会社名義の車が現に残っているなら、そこが出発点になります。
⚠ 実際にどう扱われるかは、登記所・裁判所・運輸支局それぞれの運用によります。この記事は条文がどう書いてあるかまでを整理しています。
会社名義の車は「残余財産」です
会社法481条は清算人の職務を3つ挙げています。
- 一 現務の結了
- 二 債権の取立て及び債務の弁済
- 三 残余財産の分配
分配されないまま会社名義で残っている車は、この3号の「残余財産」にあたる形です。⇒ 処分は清算人の職務の中にあります。
会社が消えているのではなく、売る人が決まっていないだけ――そう捉えると、次に何を用意すればよいかがはっきりします。
誰が売れるのか ― 清算人
会社法478条1項は、清算人になる者を順に挙げています。
| 号 | 清算人となる者 |
|---|---|
| 1号 | 取締役(2号・3号に掲げる者がある場合を除く) |
| 2号 | 定款で定める者 |
| 3号 | 株主総会の決議によって選任された者 |
解散のときに清算人が就いているのが通常です。⇒ まずは登記事項証明書(閉鎖されたものを含む)で、清算人が誰だったかを確認するところからになります。
⚠ 肩書きではなく、清算人であることが必要です。取締役が清算人になるのは1号の場合だけで、定款や株主総会で別の人が決まっていればその人です。誰の名前で書類を作るかを、先に確かめてください。
清算人がいないとき
清算人だった人が亡くなっている、辞めている、そもそも決まっていない――このときの道も条文にあります。
前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
⚠ 「利害関係人」に誰が当たるかは、条文に定義がありません。⇒ 車を買いたい人が申立てできるかどうかは、条文の文言だけでは決まりません。裁判所に確認してください。
裁判所への申立てです。納車日や車検の期限を先に決めてしまうと、間に合いません。この道に入りそうだと分かった時点で、期限のほうを動かすのが現実的です。
よくあるつまずき
- 「登記が閉鎖されているから無理」で終わらせた条文の基準は「清算が結了するまで」です(476条)
- 元代表者の実印で書類を作った必要なのは清算人であることです(478条1項)
- 清算人が誰かを確かめずに動いた1号(取締役)は2号・3号がある場合を除く、という順序です
- 裁判所の選任を納車直前に思い出した申立てです。日数から逆算してください(478条2項)
- 「利害関係人だから申立てできる」と決めつけた条文に定義がありません。裁判所に確認を
- 運輸支局に出す書類を自分で決めた窓口の運用によります。先に確認してください
よくある質問(FAQ)
Q清算結了の登記がされている会社の車は、もう動かせないのですか?
条文はそう書いていません。会社法476条は、清算をする株式会社は「清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす」としています。基準は「結了」であって「登記」ではありません。⚠ 実際の取扱いは登記所・裁判所・運輸支局の運用によります。
Q会社名義のまま残っている車は、どう位置づけられますか?
会社法481条は清算人の職務として①現務の結了 ②債権の取立て及び債務の弁済 ③残余財産の分配を挙げています。分配されずに残っている車は、③の残余財産にあたる形です。
Q誰が売主になるのですか?
清算人です。会社法478条1項は、①取締役(②③がある場合を除く)②定款で定める者 ③株主総会の決議によって選任された者を挙げています。「元社長だから」ではなく、清算人であることが必要です。
Q清算人がいない場合は?
会社法478条2項は、清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任するとしています。⚠ 「利害関係人」の定義は条文にありません。買主が申立てできるかどうかは裁判所にご確認ください。
Q清算結了の登記はいつするものですか?
会社法929条第1号は、株式会社について第507条第3項の承認の日から2週間以内としています。決算報告の承認が先、登記が後という順序です。
Q運輸支局には何を出せばよいですか?
窓口の運用によります。この記事は会社法の側だけを整理しています。清算人であることをどう示すか(登記事項証明書・裁判所の書面など)を含めて、管轄の運輸支局にご確認ください(→名義変更の必要書類)。
Qまだ解散していない会社の車を、役員が買い取る場合は?
そちらは会社法356条1項2号の利益相反取引の話になります。取締役会設置会社なら取締役会、なければ株主総会の承認が要ります(→会社と役員のあいだで車を売買するとき)。
清算株式会社の能力:会社法 第476条/清算人の就任と裁判所による選任:同 第478条(1項・2項)/清算人の職務:同 第481条/清算結了の登記:同 第929条(いずれも e-Gov法令検索)。登記所・裁判所・運輸支局の実際の取扱いは、それぞれの運用によります。
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