Minors and Registration
未成年者名義の自動車登録【18歳未満・親が売主なら特別代理人】
子ども名義で車を買う、子どもの車を親が引き取る――このとき効いてくるのは道路運送車両法ではなく民法です。成年年齢も、親権の使い方も変わりました。いまの条文で、誰が・何をできるのかを整理します。
子ども名義で車を買う、子どもが自分で買った車を登録する――このとき効いてくるのは道路運送車両法ではなく民法です。そして2026年4月1日から、親権の使い方が変わりました。
「未成年」は18歳未満です(民法4条)。18歳・19歳はもう成年で、親の同意は要りません。18歳未満なら、本人が契約するには法定代理人の同意(民法5条1項)、親が代わりにするなら代表(民法824条)。🔴 ただし、親自身が売主や買主になるときは代理できません。家庭裁判所に特別代理人の選任を請求します(民法826条1項)。
「未成年」は18歳未満です
民法4条は「年齢十八歳をもって、成年とする。」と定めています。ここが出発点です。
18歳・19歳は成年です。親の同意書も、親権者を巻き込む段取りも要りません。「学生だから」「まだ働いていないから」は関係ありません。年齢だけで決まります。⇒ この記事が扱うのは18歳未満の話です。
本人が契約するなら、法定代理人の同意が要ります
民法5条は3つの項に分かれていて、3つとも実務に効きます。
| 項 | 定めていること |
|---|---|
| 1項 | 未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為はこの限りでない |
| 2項 | 1項に反する法律行為は取り消すことができる |
| 3項 | 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内で未成年者が自由に処分できる。目的を定めないで処分を許した財産も同じ |
同意なしにした契約は「取り消すことができる」。⇒ あとから無かったことにされうる契約だということです。販売店や個人売買の相手が同意書や親権者の同席を求めるのは、この2項があるからです。渋られているのではなく、相手も守られていません。
⚠ 1項のただし書は「単に権利を得、又は義務を免れる」ものに限られます。車を買う契約は代金を払う義務が生じるので、ここには入りません。もらう(贈与を受ける)場合でも、維持費や税の負担が付くかどうかで見え方が変わります。迷うなら同意を取っておくほうが安全です。
親が代理するのが原則です
民法824条は「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。」としています。子ども名義の車の売買・登録は「その財産に関する法律行為」です。
ただし書もあります。「その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。」――子ども自身が何かをする義務を負う形なら、子の同意が要るということです。
そして親権そのものは、民法818条が「親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない。」(1項)、「父母の婚姻中は、その双方を親権者とする。」(2項)としています。
2026年4月から、父母双方が親権者なら共同して行います
🔴 ここが新しいところです。民法824条の2(親権の行使方法等)が、親権をどう使うかを定めています。
| 項 | 定めていること |
|---|---|
| 1項 | 親権は父母が共同して行う。ただし①一方のみが親権者のとき ②他方が行うことができないとき ③子の利益のため急迫の事情があるときは、一方が行う |
| 2項 | 父母双方が親権者でも、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使は単独でできる |
| 3項 | 特定の事項について父母間の協議が調わず、子の利益のため必要なときは、家庭裁判所が請求により一方が単独で行える旨を定められる |
2項が単独でよいとしているのは「監護及び教育に関する日常の行為」です。⚠ 自動車の売買や登録がこれに当たるかは、条文に書かれていません。⇒ 父母双方が親権者なら、双方で動く前提で書類を準備し、実際に何が要るかは管轄の運輸支局に確認してください。片親だけで進めて差し戻されるより、先に聞いたほうが早く終わります。
この規定を入れたのは「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)で、法務省は施行日を令和8年4月1日と示しています。つまり2026年4月1日からです。それ以前に書かれた解説は、この条を反映していません。
親が相手方になるときは、代理できません
いちばん見落とされるのがここです。親の車を子ども名義に変える、子ども名義の車を親が買い取る――このとき、親は売主(買主)であり、同時に子の代理人になります。
親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2項は、親が複数の子の親権者で、その一人と他の子の利益が相反するときも同じだとしています。兄弟間で車を移すときに効きます。
条文は「利益が相反する行為」としか書いていません。⚠ 当たるかどうかを自分で決めないでください。特別代理人の選任は家庭裁判所への請求で、時間がかかります。納車日や車検の期限から逆算して、早い段階で家庭裁判所と運輸支局の両方に確認するのが現実的です。
⚠ 必要書類(戸籍・同意書・印鑑証明書など)の組み合わせは、窓口の運用によります。この記事では条文の側だけを整理しています。実際に持っていくものは、管轄の運輸支局に確認してください。
よくあるつまずき
- 18歳の子に親の同意書を用意した民法4条で18歳は成年です。同意は要りません
- 「20歳未満は未成年」と書かれた解説で準備したいまの条文と合いません
- 親の車を子ども名義にするのに、親が代理した利益相反にあたれば特別代理人が要ります(826条1項)
- 父母の一方だけで手続きを進めた双方が親権者なら共同して行うのが原則です(824条の2第1項)
- 特別代理人の選任を納車の直前に思い出した家庭裁判所への請求です。日数から逆算してください
- 同意を取らずに本人が契約した取り消すことができる契約になります(5条2項)。相手も困ります
- 「もらうだけだから同意は要らない」と考えたただし書は「単に権利を得、又は義務を免れる」ものに限られます
よくある質問(FAQ)
Q18歳の子どもの名義で車を買えますか?
買えます。親の同意も要りません。民法4条は「年齢十八歳をもって、成年とする。」と定めています。18歳・19歳は未成年ではありません。
Q18歳未満の子ども名義にできますか?
民法の側では、できない仕組みにはなっていません。本人が契約するなら法定代理人の同意(民法5条1項)、親が代わりにするなら親権を行う者が子を代表します(民法824条)。ただし、親自身が相手方になる場合は §05 の特別代理人が要ります。窓口に出す書類は運輸支局にご確認ください。
Q親の車を子ども名義に変えるだけでも、特別代理人が要りますか?
利益が相反する行為に当たるなら要ります。民法826条1項は、親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為について、特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならないとしています。⚠ どこからが利益相反かは条文に書かれていません。家庭裁判所に確認してください。
Q父と母のどちらか一方だけで手続きできますか?
父母双方が親権者なら、共同して行うのが原則です(民法824条の2第1項)。一方だけでよいのは①一方のみが親権者 ②他方が行うことができない ③子の利益のため急迫の事情があるときです。単独でよいとされている「監護及び教育に関する日常の行為」(同2項)に自動車の登録が当たるとは、条文に書かれていません。
Qこの共同のルールはいつからですか?
令和8年(2026年)4月1日からです。「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)によるもので、法務省が施行日を示しています。
Q同意を取らずに子どもが契約してしまいました。
民法5条2項は、同意を得ずにした法律行為は「取り消すことができる」としています。⚠ 当然に無効になるわけではありません。どうするかは相手方との話になるので、早めに販売店へ連絡してください。
Qお小遣いで買える範囲なら同意は要りませんか?
民法5条3項は、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内で未成年者が自由に処分できるとしています。目的を定めないで処分を許した財産も同じです。⚠ 自動車の購入がその範囲に入るかは、渡した財産の性質によります。条文が金額の線引きをしているわけではありません。
成年年齢:民法 第4条/未成年者の法律行為と取消し:同 第5条/親権:同 第818条/財産の管理及び代表:同 第824条/親権の行使方法等:同 第824条の2/利益相反行為と特別代理人:同 第826条(いずれも e-Gov法令検索)/施行日と改正法の番号:法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕」。窓口に出す書類の組み合わせは運輸支局の運用によります。
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